昭和電工(大分県立)武道スポーツセンター

 

所在地    大分県大分市

建築主    大分県

建築設計者  石本建築事務所

構造設計者  石本建築事務所

       山田憲明構造設計事務所

       山田憲明 杉本将基 古矢渉

       蒲池健

施工者    フジタ・末宗組特定建設工事

       共同企業体 

建物規模   延床面積 16,126㎡

       階数   地上3階 地下1階

主要用途   体育館

主要構造   RC+W+S、直接基礎

竣工     2019年

掲載     新建築2019年10月号

       建築技術2019年11月号

​       近代建築2019年10月号

       日経アーキテクチュア2019年10月10日号

       日経アーキテクチュア2018年10月11日号

       木質構造研究会会誌

       建築知識2019年11月号

​       建築士2019年7月号

       

120㎜×240㎜×4mの県産スギ製材でつくる大空間

 

 これまで多くの木造プロジェクトでの経験を通して、多少の地域差があるものの、現状ではスギは胸高直径で300~350㎜程度の立木が圧倒的に多い。このサイズからは120㎜×180~240㎜程度の平角製材が得られる。このサイズの平角材は戸建住宅の梁用としての需要もあることから、木材生産者と対話をすると、このサイズを使ってほしい要望を多く受ける。なるべく歩留まり上げようとすると、山の立木径の分布や、グレーディング後も商流に載せやすい断面寸法の設定が望ましいのは当然のことである。

 

 大分県立武道スポーツセンターの屋根構造は、このサイズの大分県産スギの平角材を徹底的に活用している。木材供給者であった大分県木材協同組合連合会との長期間に渡る対話や専門家からの多くの知見を経て、地域木材の性能確保と無駄なく使い切ることを鑑み、断面120㎜×240㎜、材長を2~4mの大分県産スギ製材を主体にして屋根構造をつくっている。更に大分県産スギ材のヤング出現分布や乾燥収縮の影響に備え、木材仕様をヤング率と含水率の組み合わせで計4種類に区分し、適材適所に使い分けている。

 

 多目的競技場の広さ約70m×100mもの無柱大空間に対して、この平角製材で屋根を架け渡すために、力学、施工での合理性を持たせるべく形態とディテールを追求したアーチトラス架構としている。アーチ形状となる下弦材を円弧にそった折線にし、各折点間の中心角を一定にすることでスパンの異なる各通りの全箇所の接合部のカット角度を半径方向に統一するとともに、束の角度と位置もカット面と揃えている。更に、丸鋼ブレースの角度変化に対応できるように端部の羽子板を1本の高張力ボルトで接合し、このボルトから弦材にそって配置したフラットバーを介して支圧プレートや中ボルトによって伝達させることで接合部ディテールを同一形状にしている。これに加え、木材木口の面タッチによる応力伝達によってボルトや金物を格段に減らしている。