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​竣工写真撮影:矢野紀行写真事務所

静岡県森林組合連合会天竜事業所

所在地    静岡県浜松市

建築主    静岡県森林組合連合会

建築設計者  長谷守保建築計画

構造設計者  山田憲明構造設計事務所

       山田憲明 吉岡涼

施工者    中村建設

建物規模   延床面積 394.47㎡

階数     地上1階

主要用途   事務所

主要構造   W

設計期間   2020年7月~2021年3月

工事期間   2021年4月~2022年4月

​ダブルキールトラスと山形トラスのハイブリッド構造

 本建物は、3寸1分勾配の切妻屋根を持つ2つの木造平屋(梁間10.0m×桁行26.1mの事務棟、梁間10.0m×桁行12.1mの入札棟)が、約64度の振角で連結された森林組合の事業所である。木材は静岡県森林組合連合会の構成会社からスギ製材を調達することとし、90㎜角~120㎜×240㎜の小中断面、定尺材(材長4~6m)を用いている。

 一部の屋根を差し掛け状にし、トップサイドライトを設けて自然光を採り入れている。事務室と入札会場は共に梁間10.0m×桁行約9.7mの無柱空間で、両側面は全面開口となっており、上述の採光計画と相まって明るく開放性の高い空間となっている。構造計画では、この大空間の無柱と開放性をいかに実現するかが最大の課題となった。

各棟は両妻または片妻部分に小部屋が配置されることから、このエリアに合板耐力壁を随所に設けて耐震コア化した。両側面から3.05m内側に入った通りを主な耐力壁線とし、この通りに切妻屋根の懐スペースを活かしたキール状の木造平行弦トラスを2列架け渡すことで、屋根面の鉛直・水平力の大部分をコアに伝達させる計画とした。せん断力が大きくなるキールトラス端部には構造用合板を両面貼りし、合板充腹梁としての効果も期待している。更に、切妻に沿った山形の上弦材と天井面に沿った水平の下弦材とで構成した山形トラスを606㎜ピッチで設け、鉛直力を梁間方向にも流して分散するとともに、下弦材を繊細な天井面として化粧あらわしにしている。

 事業主側から、工事費削減と産廃抑制の観点から既存土間コンを残したまま施工したいという要望があった。そこで、新築建物の計画範囲で機械式ボーリングなどの地盤調査を実施したところ、既存土間直下に強固な玉石混じり礫層が存在することが判明した。既存土間コンは玉石混じり礫層よりはるかに強度が高いことから、既存土間コンの上に新規基礎を構築しても問題ないと判断し、基礎梁とフーチングを兼ねたRC造の扁平梁を各所に設ける計画とした。