Y S D Yamada Noriaki Structural Design Office
山田憲明構造設計事務所
竣工写真:Koji Fujii TOREAL
SMC遠野サプライヤーパーク共用棟
所在地 岩手県遠野市
建築主 SMC
建築設計者 大成建設株式会社一級建築士事務所
構造設計者 大成建設株式会社一級建築士事務所
共用棟屋根架構設計
山田憲明構造設計事務所
山田憲明 衣笠大樹
施工者 大成建設
建物規模 延床面積79,765.24㎡
階数 地上3階
主要用途 事務所
主要構造 S+一部W
設計期間 ~2023年8月
工事期間 2023年9月〜2025年10月
掲載
木造ダブルハーフアーチ構造
空気圧縮制御機器メーカーの広大な生産工場で働く従業員のための交流拠点である。遠野三山の稜線に呼応するなだらか曲面屋根を持つ外観と、散策できる森の中のような内部空間が特徴である。
この屋根形状や空間に適合させるために、屋根架構として遠野産アカマツ集成材を活かしたダブルハーフアーチ構造を考案・採用した。一般にアーチ構造では、スパン両端部に生じる大きなスラストを支持できるタイバーや剛強な柱が必要になるが、ハーフアーチ構造は一端にスラストを支持できる強固な構造があれば、もう一端のスラスト支持が不要になる。ダブルハーフアーチ構造はこれを更に発展させたもので、ハーフアーチを左右一対に配置することでスラストを相殺させている。これによりタイバーや剛強な柱を不要にし、木アーチが際立つダイナミックで開放的なアトリウム空間の創出を可能にした。
ダブルハーフアーチ構造では、左右一対のアーチスラストを相殺させることが力学的に重要で、左右のスラストが同程度になるようアーチのスパン/ライズ比を調整する必要があった。一方で屋根形状が不定形なためスパンや角度が刻々と変化する。そこで、アーチ架構の形状を合理的に導出する手法として、Grasshopperを用いた形状最適化に取り組んだ。初めに、外観と内部の建築空間を条件に生成された屋根形状に基づき、架構形状を自動生成するプログラムを作成し、建築空間と構造架構を横断的かつ同時に検討可能なデザインプロセスを構築した。構造最適化の過程では、柱間に架かるハーフアーチを対象とし、そのスパン/ライズを主要なパラメーターとして設定した。これらを変数とし、最大鉛直変形量が最小となる条件を評価指標として最適化を行い、各架構における適切なライズを決定した。これにより建築空間と構造合理性を両立させた架構形状を導出した。
木アーチのスパン長さ、取り付レベルがすべて異なる複雑な屋根形状になっているため、木アーチと柱との接合部はピンジョイントを用いたフレキシブルなディテールとすることで、デザインの統一感を持たせると共に部材製作と現場施工の合理化を図っている。木アーチは長さ約2mのアカマツ集成材を折線状に連結した折線アーチとしており、木口を密着させて支圧力によって応力を伝達させることで製作金物を減らしている。また、上部鉄骨梁と木アーチの接合は割り込みプレートと貫通ボルトによるシンプルなディテールとしている。
