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国際教養大学中嶋記念図書館

 

所在地    秋田県秋田市

建築主    国際教養大学

建築設計者  仙田満+環境デザイン・コスモス

       設計共同企業体

構造設計者  増田建築構造事務所

       山田憲明

施工者    大木・沢木・足利・石郷丘・互大

       異業種共同企業体

建物規模   延床面積 4055㎡

       階数   地上2階

主要用途   大学施設(図書館、教室)

主要構造   W+RC+S、直接基礎

竣工     2008年

掲載     新建築2009年5月号
       建築技術2010年6月号 

​       木の建築31号

       建築形態と力学的感性(日本建築学会)

       ヤマダの木構造

​       建築技藝

受賞     第24回村野藤吾賞

       第22回JSCA賞作品賞

       日本建築家協会賞2009

       第52回BCS賞
       建築家フォーラムアワード優秀賞2010
       建築美術工芸協会AACA賞優秀賞2011

       グッドデザイン賞2014

​多雪区域の半円筒形大空間を

秋田スギを用いた和傘状の構造で支える

 半円形平面・段状断面を有する24時間オープンの本図書館は、国際教養大学の中枢施設として2008年に建設された。構造計画上の主要条件は、プロポーザル要項の秋田県産木材多用、図書館としての遮音性と水密性、広大なフラットルーフの150cm滞雪性能、ルーフ段差・外周部の水平スリット状ハイサイドライトの開放性、半円筒形大空間のバランスであった。主要木材は、中目丸太の有効利用を考え、秋田杉の径5〜8寸、長さ4〜8m程度の芯持材である。

 これらの与件に対し、まず外周をRC壁とし、入れ子状に秋田杉製材による放射状二重組立梁を配置した。二重組立梁は、叉首(さす)梁と重ね透かし梁という適応スパンの異なる2種類の組立梁を縦に重ねたもので、大荷重・長スパンに対しても小径木の使用を可能としつつ軽快な架構を実現できるものとして考案した。二重組立梁は接合箇所が多くなるため製作金物を用いるとコストアップや美観の問題があったが、伝統的要素技術である継手・仕口を用いて解決した。

 

 放射梁が集まる円弧中心部では、混雑を解消しつつ梁スパンを短縮する目的で、中心から2.5m離れた位置に鉄骨円弧梁を配置して放射梁を受け、これを基礎レベルの円弧中心から傾けて建てた6本の300φ杉柱で支持した。ルーフ段差・外周部では鉄骨フィーレンデール梁と片持ち柱を配置することでハイサイドライトの開放性を獲得し、ルーフ段差部では6本の360角杉柱でフィーレンデール梁を支持した。以上の構造のみでは積雪時のスラストによる変形が大きくなるため、屋根面に構造用合板を貼って構面をつくり立体的に安定させた。

 このような製材を用いた大架構では、木材の乾燥収縮による応力集中や有害な変形が懸念されるため、自己収縮ひずみを考慮した解析(材軸方向収縮率0.1%)を行い、収縮に追従できる架構をスタディした。更に木材選定と乾燥を慎重に行うとともに、将来の変形に備えて調整可能な機構を各所に設け、数年ごとの定期検査実施を計画した。

平面図.jpg
121029矩計図.jpg
構造システム.jpg
二重合成梁.jpg
架構決定プロセス_v2012.jpg
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