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東北大学大学院環境科学研究科エコラボ

 

所在地    宮城県仙台市

建築主    東北大学

建築設計者  ササキ設計

構造設計者  増田建築構造事務所

       山田憲明

施工者    サンホーム

建物規模   延床面積 998㎡

       階数   地上2階

主要用途   学校

主要構造   W、直接基礎

竣工     2010年

掲載     木の建築31号

       アーキニアリング展2011

       ヤマダの木構造

       構造ディテール図集

​       建築技藝

受賞     第7回日本構造デザイン賞 

       第14回木材活用コンクール特別賞

       照明学会照明普及賞優良施設(2010)

 

大学所有のスギからつくる組立式ラーメン

 エコラボは「環境省エコハウスプロジェクト」を推進すべく、環境科学研究科のシンボルとして建設された木造2階建ての研究・教育施設である。施設の開放性やフレキシビリティが求められたプロポーザルでは建築・構造・設備の各設計者が個別に選定された。1階は中央エントランスホールの両側に講義室、2階は中央ホールの周囲に10室の研究室が配置されている。構造材には設計者である佐々木文彦氏の発案で東北大学所有の杉間伐材を使用している。

 8mスパンの床、1階階高4.2mを有する延床約1000㎡規模の木造施設において、杉間伐材を用いた開放的な空間を実現するために、平角柱・ダブル梁・方杖・掘立柱による「組立式木造ラーメン」を考案した。平角柱150×360を東西方向8m、南北方向2m間隔に建ててダブル梁105×390で挟み、接合部付近に方杖を入れて東西方向に抵抗できる門型ラーメン構造をつくった。これにより鉛直・水平荷重時の応力・変形を小さく抑えられるとともに、隣接スパンへの連続性が生まれることで跳ね出しやスパン中間位置での継手配置を可能にしている。更に4.2mもの階高を有する1階の水平荷重時応力・変形を低減しつつ柱の座屈条件を改善するために、木柱に沓金物を履かせてRC基礎に埋め込む「掘立柱」にしている。南北方向は方杖設置可能な箇所が限られるため、菱形状に方杖を入れた構面を集中的に配置することで水平耐力を確保した。各接合部はウッドタッチやボルト締め等の簡易な方法をとっている。

 方杖の利点は本数や高さ等入れ方を調整することで剛性をコントロールできることである。建築計画上、平面・立面的に剛性のバラツキが懸念されたが、方杖の調整によって各階各方向で偏心率0.15以下、剛性率0.60以上のバランスを獲得している。

 3.11東北地方太平洋沖地震では震度6強の揺れが襲い、キャンパス内施設の多くが大きな被害を受ける中、エコラボはユラユラと揺れてガラス1枚割れることなく耐え、地震後は大学の震災対策本部が置かれるなど十分に機能した。

図1 平面図.jpg
図2 断面図.jpg
図3 組立式木造ラーメン構造の計画プロセス.jpg
図4 方杖の入れ方のバリエーションと剛性変化.jpg
図7 構造システム.jpg
図5 床版パネルユニットの製作・取付け手順.jpg
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