Y S D Yamada Noriaki Structural Design Office
山田憲明構造設計事務所
城山幼稚園
所在地 東京都板橋区
発注者 学校法人石川キンダー学園
建築設計者 松本直子建築設計事務所
構造設計者 山田憲明構造設計事務所
山田憲明 古矢渉
施工者 江中建設
建物規模 延床面積 214㎡
階数 地上1階
主要用途 幼稚園
主要構造 木造、直接基礎
竣工 2014年
掲載 新建築2016年5月号
ヤマダの木構造
外形と内形の違いを活かす
梁間7.28m×桁行14.72mの広さを持つ遊戯室の構造は、大きくは建物内外における形状の制約から決まっている。建物外形の条件は、園庭側開口を大きくとって採光を得ることと、園庭側に雨を落とさないことから、西側に水上を持つ片流れ屋根とすることである。一方、建物内部における条件は、梁間スパン中心軸に高さ約5m頂点を持つ、軸対照な山形空間をすっきりとつくることである。
山形フレームの構造では鉛直力によって柱が外側に開こうとするスラストが生じるため、一般に、水平にタイバーを入れるか、鉄骨造工場のように各折点を剛接合にしたラーメン構造にすることがほとんどだ。本幼稚園では、外形としての片流れ屋根と内形としての山形空間の間にできるスペースを活かし、登梁と下弦材の間を束と斜材で繋ぐことで変則的なフィーレンディール架構をつくっている。また、梁材として使うような平角材を柱に用い、モーメント抵抗をする引きボルト式の柱脚にすることでスラストを更に小さくして半剛節ラーメン架構をつくり、屋根のたわみを抑えている。
下弦材は合わせ梁にし、部材が集まってくる接合部の混雑を解消するとともに、合わせ梁同士の間に照明を入れることで、構造と照明の一体的な計画を行っている。各接合部は、切削加工した木材同士を嵌め合わせて応力伝達をさせる嵌合接合を採用して金物をなくし、接合性能とすっきりとした美観を両立させている。
このフィーレンディールと半剛節ラーメンを組み合わせた平面架構を桁行方向に1.82m間隔に配置することで遊戯室の柱無空間を実現している。