Y S D Yamada Noriaki Structural Design Office
山田憲明構造設計事務所
長府製作所記念館 蛍遊苑
所在地 山口県下関市
発注者 長府製作所
建築設計者 泉幸甫建築研究所
構造設計者 山田憲明構造設計事務所
山田憲明 古矢渉
施工者 安成工務店
建物規模 延床面積 880㎡
階数 地上1階
主要用途 資料館 飲食店
主要構造 木造、直接基礎
竣工 2014年
掲載 新建築2014年11月号
建築技術2018年12月号
チルチンびと2014年秋号81
受賞 グッドデザイン賞2016
樹状とアーチを組み合わせたネットワーク状の構造
蛍遊苑は、下関市長府に本社を置く(株)長府製作所の記念館である。城下町の歴史的な街並みに馴染むよう瓦葺き屋根とし、定尺のスギ製材を用いた架構を化粧あらわしにしている。
メインルームとなる多目的ホールは12m×15mの無柱空間で、越屋根のついた5寸勾配の切妻屋根が覆っている。この空間を支える架構は、3m間隔の側柱から部材が徐々に分岐・連結していくことでネットワークを形成するような、樹状とアーチを組み合わせたものになっていった。接合部は美観とコストに配慮して嵌合接合とビスを多用した方法としている。
この架構の実現には2つの課題があった。ひとつは、接合部の複雑さによる加工と建方の難しさである。特に、部材が多方向から様々な角度で集まる接合部の3次元的なおさまりは、規矩術による手加工では墨付けと刻みが困難で、3DCADによる加工データ入力と特殊プレカット機を使用した。
もうひとつは、木材の含水率設定と調達である。木材繊維直交方向の支圧で応力伝達させる接合部を多用しており、乾燥収縮量が与える架構全体の変形への影響が大きいため、製材の含水率15%以下に設定した。