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滋賀県林業会館

 

所在地    滋賀県大津市

建築主    滋賀県森林組合連合会

建築設計者  宮村太設計工房

構造設計者  山田憲明構造設計事務所

       山田憲明 香取佑弥

施工者    坂田工務店

建物規模   延床面積 501.61㎡

階数     地上2階

主要用途   事務所

主要構造   W

竣工     2021年4月

受賞     令和3年度木材利用優良施設コンクール

         木材利用推進中央協議会会長賞

       ウッドデザイン賞2021

​木造住宅の技術とネットワークで実現する中大規模木造

 地域における木材と木造の技術とネットワークを活かして実現された中大規模木造建築である。滋賀県内で良質な木造住宅をつくり続けてきた設計者と施工者を中心にしたチームに協力させていただいた。

 

 構造材は100%びわ湖材で、普段のたゆまぬ努力により構築された川上から川下までのサプライチェーンをベースに良質な木材を無理なく調達している。デザインビルド方式のコンペが採用されたことで、設計段階でのきめ細かい施工検討や木材調達準備が可能になり、大きな合理化がはかられている。大径化しつつある立木の活用が求められている中、一般材だけでなく、大黒柱やエントランスポーチの梁等に大径材を用いるなど、これからの大径材利用についても配慮されている。

 短辺方向スパン5.46mのを持つ2階床構造は、対辺から相対する梁材を半ピッチずらして差し込むことでラップさせ、互いの先端位置に直行方向の梁材で繋いだ櫛形のレシプロカル構造で、スギ平角の4m定尺材(断面120×300㎜)のみで実現している。接合ディテールと加工・組立の工夫により、下から梁受け金物が見えないおさまりとなっている。

 スパン7.28mのエントランスポーチの屋根構造は本施設の顔となる部分であるが、同様の櫛形のレシプロカル構造であるが、スギ平割の6m定尺材を(断面60×270㎜)を2材を一組のユニットにし、縦方向に配置した束材で繋ぐことによって、ビス止めの簡易な接合と軽やかなな美観を実現している。

 2階大会議室は、梁間10.92m×桁行9.1mの無柱空間であるが、切妻屋根形状を活かした3ヒンジ式折線アーチ構造を考案し、材長4m以下の一般製材(登梁120×180および75×180ダブル、アーチ材120×120、束材120×120)で梁間方向に架け渡している。登梁の継手は、シングル材をダブル材で挟むことにより、曲げモーメントと軸力を伝達できる簡易なディテールを採用している。

 

 中大規模木造建築のつくり方が模索されている現代において、本建物は、地域の財産ともいえる木材・ネットワーク・設計施工技術を活かして無理や無駄がなく、ローコストで実現されており、これからの中大規模木造建築のあるべき姿を示している。

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