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一松寺 本興寺 

 

所在地    千葉県長生郡長生村

建築主    宗教法人 法華宗(本門流)本興寺

建築設計者  NIIZEKI STUDIO

構造設計者  山田憲明構造設計事務所

       山田憲明 香取佑弥

施工者    木組

建物規模   延床面積 229.38㎡

階数     地上1階

主要用途   授与所

主要構造   W

設計期間   2018年8月~2019年9月

工事期間   2019年10月~2020年7月

掲載     新建築2021年11月号

​受賞     第3回AND賞優秀賞

耐風柱から屋根梁へと

シームレスに役割が変化していく木構造

 本堂の建替えを主とした寺院を整備するプロジェクトで、本堂、会堂、それらをつなぐ渡り廊下の3つで構成している。本堂は1辺11.83mの正方形プランで、屋根は頂点が一つの隅角の直上にくる斜方錐(しゃほうすい)である。誰もが気軽に訪れられるよう、2面を広く外に開いた深い軒下空間をつくっている。本堂に入ると、対角に配置された奥の須弥壇に向かって徐々に高く深くなっていく信仰の空間となっている。

 本堂の構造計画では、①広く深い出幅3mの軒下空間 ②徐々に迫り上がる12m角の無柱空間 ③高くそびえる10mの妻壁 という3つの課題をいかに統合していくかであった。一般的な構造計画では、稜線に設けた大断面の梁を基点として、軒と室内を連続した登梁で架け渡す方法であるが、高い妻壁は屋根の構造システムとは別に、大断面の柱で支持しなければならない。また、意図せず、軒下と内部が連続した空間になってしまう。そこでまず、深い軒は合板チューブ構造で独立して支持させた。次に、屋根の稜線部分を合板で固めた折板構造で支え、直交方向にせりあう三角ユニットで、広い内部空間と高い妻壁を同時に支持した。三角ユニットは、高い妻壁を支える役割から、大きなスパンを支える梁へと、役割をシームレスに変えていく。は、形状が徐々に変化する三角ユニットをつくりやすくするために、下弦材と垂直に下地を組んで両面から合板を貼った合板充腹梁を採用している。

 会堂は、本堂でのお祈りやお墓参りを終えた方が気軽に立ち寄れる施設で、池に向かってに広く開放されるよう計画されている。会堂の屋根構造は、本堂と異なり屋外と一体となりながら集える様な場を生み出すために、5.46m×7.28mの室内無柱空間と2mの軒跳ね出しの連続性を、一般流通の2m定尺材で構成したレシプロカル構造の格子梁で実現している。レシプロカル構造は、「支える」「支えられる」関係が循環するために組み立てが難しいが、と市販の梁受け金物を用いた接合ディテールと組立手順を工夫することで、接合耐力と美観を両立させている。

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